オンライン家庭教師をしてよかったこと【台湾編】

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何回かオンラインチューターをやっていて良かったことを紹介してきたんだけど、また嬉しかったことがあった。

うちのおばあちゃんは今年90歳になる。いつだったか「死ぬ前に外国に行ってみたい」と言ったことがあった。昔の美術品が好きなおばあちゃんは台湾にある『故宮博物館』に興味があったようなので、2泊3日で台湾の首都、台北に行ってきた。

前の年末年始に友達と行ってきたところなんだけど、いろいろと台湾の勝手がわかっていたので丁度良いと思って行くことにした。前回は台中という台湾の真ん中あたりに住んでいる台湾人の友達にいろいろ助けてもらって旅行することができた。

本当はその子とまた再会したかったけど、90歳のおばあちゃんを連れて移動しすぎるのはよくないと思い、台中に行くことはしなかった。2泊しかしないこともあり、台北付近だけ観光するつもりで予定を立てていた。

幸運だったことは、その旅行のことを僕と日本語レッスンを受けている台北在住の生徒さんに話したところ、「ぜひご一緒しましょう」と言ってもらえたことだった。

その方は仕事も子どもの世話もあるのにもかかわらず、仕事を休んでまでほぼ付きっきりで車で台北を案内してくれた。さらに旦那さん(僕より7歳年上だけど、僕より若く見える)も中国出張の日程をずらしてまで、僕らと夕食を1回一緒にしてくれ、夕食の後は僕と2人でガイドブックに載っていないような知り合いのバーに連れて行ってもらえた。旦那さんは仕事が忙しく、その日しか会えなかったけど、別れ際お互い「Brother」と呼び合ってハグして別れることができた。最近はお酒を飲むことを控えていたけど、こういう時にお酒を飲むのはいいものだと感じた。

奥さんの生徒さんには、空港に迎えに来てもらってから2日目の夜までずっといてもらい、僕のおばあちゃんには日本語を使って会話をし、足の悪いおばあちゃんを気遣ってトイレの場所まで一緒に行ってくれたりと、感謝してもしきれないぐらいことをやってもらってしまった。それを嫌な顔ひとつせず、僕らの世話をやってくれて本当にやさしい方でした。聞けばクリスチャンとのことで、聖書の教えのひとつである「隣人を愛する」ということを実践しているんだろうなと思った。

一番のイベントは最終日に起こった。

2日目の夜にその生徒さんと別れた後、感謝のメールを送りつつ最終日の予定についてお勧めを聞いていた時に、その生徒さんは「会社の近くのレストランでなら一緒にランチを食べられるかも」と提案してくれたのだ。もうその時間は夜遅かったので、決定事項とすることはしなかったけど、次の日の朝、つまり最終日の朝にメールを入れてみると「お邪魔でなければ、お昼に時間が取れそうなので最後にランチをご一緒しませんか」との返信が。

僕は二つ返事でOKした。

おばあちゃんもかなりその生徒さんのことを気に入っていたみたいで、もうこの旅行中には会えないと思っているのに、会えたら絶対に喜ぶだろうと思い、ランチを一緒することは黙っていることにした。

その日は終始ドキドキしっぱなしだった。小さなサプライズを計画しているみたいで、気が気でなく朝食のときも心なしか食事の量が少なめになった。

その後はさっさとお土産を買って、お昼の12時に予約してもらっていたレストランへ。

僕らが先に着いたようだ。予約の紙を確認させてもらうと1組だけ3人の予約が入っている。中国語の名前が書いてあるが、おそらく生徒さんの名前だろう。店員さんに彼女が来ているかどうか聞いてみると、まだ来ていないとのこと。英語で話せばおばあちゃんには知られることはない。店の中の席は空いていたが「準備がまだできていない」とかテキトーなこと言って、テーブルではなく店の前で待つことにした。

それから5分ぐらいすると生徒さんが隣のお店に入ろうとしているのが見えた。すぐに出てきた。どうやら店を間違って入っていったようだ。こちらを向いて僕を見つけると手を振ってきた。おばあちゃんには気づかれていない。ゆっくりこちらに歩いてくる。

「おばあちゃん」

生徒さんは偶然を装っておばあちゃんに声をかけた。

「まあ!こんなところで会えるなんて!なんて偶然!」とおばあちゃんは驚きながらも、喜んだ様子だ。すぐに「もし時間あったらここで一緒にご飯しませんか?」とおばあちゃんも気を利かしていた。

もちろん元々そのつもりだったので、ここでネタばらしをした。「実は、今日の朝から会う約束してて、ここはEさんが予約してくれたんやで」

食事中はやはりまだドキドキしながらもみんな再開を喜び合っていた。しかしまたやってくるお別れの時間が迫っているのを背中に感じながら、その時間を存分に満喫しようと各々努力していたように思う。

空港に向かうタクシーに乗る時間をギリギリまで粘って食事の時間を設けた。

別れ際にまた写真を撮り、ハグして別れた。

おばあちゃんは泣いていた。おばあちゃんにとっては人生初めての海外旅行、初めての台湾、初めての国際交流。Eさんが良い人で本当によかった。

おばあちゃんは旅行するといったら、JTBとかの旅行会社に頼むのが普通だと思っていた。僕は自分で計画するのが好きだったし、今回はEさんがほとんどの計画やガイドの仕事を引き受けてくれた。これはどれだけ旅行会社にお金を積んでも体験できない経験だ。

オンラインチューターの仕事はこれからも続けたいと改めて思った。

こういった出会いを大切にしていきたい。

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