手に届きそうなことしか悩むことができない

ある生徒の悩み

ひとりの生徒さんが、進路について悩んでいました。

海外のインターナショナルスクールに通っている子なんですけど、どうやら転校したいようです。今通っている学校は国籍の偏りがあるらしくて、英語より韓国語を聞くことの方が多い日もあるそうです。

ある日、日本人である自分にまでクラスメートが韓国語で喋りかけてきたときに、このままじゃ良くないと思って、転校を考え始めたとのこと。

確かに、英語を勉強したいのに、クラスに韓国人が多いからという理由で韓国語ばかり聞いていたら、自分のためになりませんよね。転校することは、その子にとって良いことのように思えたので、僕も賛成しました。

しかし、転校することはそう簡単じゃないようです。良い教育を受けるためには、学力も必要ですし、もちろん高い英語力も要求されます。だから、その子は不安になっていたのです。

僕は、その子がどういう経緯で外国のインターナショナルスクールに行くことになったのかを知っていました。父親の仕事の関係で、急に引っ越しが決まり、英語も全然できない状態での転校(1回目の)だったそうです。

そこで僕はこう言いました。

「初めてインターナショナルスクールに行く時は、その学校のレベルとかは気にならなかったはず。そんなことより、自分の引っ越しや英語の勉強で大変で、どんな高校に行こうかなんて考えてなかった。でも、より英語力の必要とする良い学校に行こうと思えて、それに不安になっているということは、それが手に届くか届かないか微妙なラインにいるってことやと思うよ。今までは、戦うリングにも上がれてなかったはずやで。」と。

その子は、確かに、と頷いて自分の成長を感じているようでした。

一般の人は、東大とかハーバードに受かるか受からないかで心配になることはありません。そもそも狙う人も少ないし、自分とは違う世界の話だからと気にすることなく生きていくことと思います。

自分が知っているものにしか目標を設定できませんし、わからないものに魅力を感じることもありません。

政治に若い人が興味が持てないのは、自分の身近なものではないからです。

レベルや能力が足りていないと悩むことすらできない

この考え方は自分が落ち込んでいるときにとても有効だと思います。

僕が「できるかどうかに不安」になっているときは、少なくとも戦いのステージに上がっているんだ、とポジティブに考えるようにしています。

そうすると、ちょっとだけ自分を褒めてやることができるんです。成長はしているんだな、って。

僕の経験上、人生で不安にならないことなんてないので、定期的に自分のやってきたことを振り返って、自分の成長を認識してやることが精神安定のために必要だと思います。そうじゃないと毎日迫りくる壁を乗り越えるのに必死で、自分の居場所を見失ってしまうことがあるからです。

さて、今の自分の悩みは、昔の自分が悩むことすらもできなかった悩みだろうか。

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